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2025/07/06(Sun)00:39
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2011/03/29(Tue)02:43
ほぼすべての回転式事務椅子において、その下半分のデザインは共通しています。中心を鉛直方向に貫く一本の柱と、その下で放射状に伸びる数本の足、そして各先端に取り付けられたキャスター。
柱が一本しかなく足が放射状であることの理由は、座面と足が相互に柱を軸として相互に回転可能であるからですが、でもどうして回転できるのでしょうね。
座った状態で向きを変えるため、というのはちょっと違う気がします。キャスターがあれば、巨視的には椅子と床とは平面対偶によってつながる関係にあるわけですから、床面に平行な並進と床面に垂直な軸周りの回転は自由なはずです。座面の回転機能は、この平面対偶の持つ回転自由度と重複します。
話が逸れますが、もしこの座面の回転機能が無ければ、事務椅子のデザインは現在よりずっと合理的になるのではないかと私は思います。近年の椅子にはリクライニングが可能なものが多いですが、リクライニング時の重心の移動方向は使用者の前後方向と決まっており、左右には殆ど変化しません。何もしなければ、背中を後ろに倒せば倒すほど重心は後方にずれていきます。そして、やり過ぎると転んでしまう。ですから、リクライニング出来る椅子の足は前後方向には長くあるべきなのです。と同時に、左右方向には短くてもいいことになります。事務用机の中に入れることを考えても、足下がスリムであるのに越したことはありません。事務椅子の足は、正多角形状ではなく、前後に長い長方形であるほうが(少なくとも上で検討した項目に関しては)合理的です。
ところが、椅子に回転機能を持たせると長方形という異方性の高い形状が使えません。たまたま短辺が前後方向になろうものなら容易に転んでしまいます。というわけで、どんな向きでもほぼ一定の安定性をもたせるためには正多角形状である必要が有りますが、しかし闇雲に正多角形を大きくすることもできない。やはり左右方向に広がってしまうのはスペース的に問題が有るのです。なるべく小さな外接円に収まる足で、安定性を得るために、メーカー各社はいろいろな機構を用いています。回転さえしなければ、簡単に解決できそうなのですが……
そんなちょっと厄介な回転機能の意義、最近は、座っているときの細かな体の動きを許すことにあるのではないかと思っています。この回転機能は、キャスターがタイルカーペットやクッションフロアに埋まってしまっていても、整備さえ出来ていれば軽く動いてくれますから、どんな床でも椅子は回転だけはしてくれる。自室で使っている椅子はグリス切れで(手入れしろよ)回転が渋いのですが、そうすると何となく窮屈なことがあるのです。対して、研究室の椅子ではそういう気分にはあまりなりません。椅子自体が異なるのではっきりとは言えませんが、小さな姿勢変化が座面の回転によって許容されているというのには実感が伴います。
ですが、じゃあそれがベストなのか、と考えるとちょっとどうよと思うのも事実なわけで。
もともと、上記の回転機能が生きるにはキャスターによる動作が渋いという前提があり、ここが軽く動けば何の問題も無いと考えられます。キャスターが渋いことは椅子全体の動きを抑える役割も果たしているでしょうが、それならば動きの良いキャスターとブレーキ機能が有る方が直接的です。また、着座状態での動きの量などたかが知れていますから何も360度全周動ける必要もないでしょう。それに、鉛直軸に対する回転運動で上記の動きを吸収してしまうのが合理的かどうかもわかりません。って、こんなこと皆考えてると思いますけどね。
No.368|バイオ研もろもろ|Comment(0)|Trackback()
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