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蛙の末裔の妄創手帖

ポリシーは「ものに優しく」。
人畜無害で善良な変質者を目指します。
って、なにそれ?

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2025/02/25(Tue)00:57

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骨折り損で人工関節

2011/05/19(Thu)01:41

 研究室のとあるM2さんが扱っているテーマでは、お医者さん提供のDICOM形式CT画像を有限要素解析まで持っていかなければなりません。今日はこの課題に、私とD2の先輩の二人が取り組みました。当然ながら私もD2の先輩も研究テーマは別にあるのですが、いろいろあってそういう流れになってしまったわけですね。いろいろあって。

 タスクの内容をもう少し具体的に述べますと、raw形式の連番X線CT画像が入ったDICOMファイルがあって、それに写っている物体をANSYSのプリポストで読み込めるモデルにする、というものになります。ちなみに、内輪の話になりますが(まぁ全部内輪ですが)、当初はFEAをPro/EngineerのMechanicaで行うという話で、ゴールはSTLファイルで良いんじゃね?と思われていました。ただ、STLは物体表面を三角形パッチで覆っただけのサーフェスデータなので3DCADに取り込めはしても、すぐには解析出来ません。つまり、何とかしてソリッド化して、立体のメッシュを切る必要がある。
 そこでさぁM2さんよ。そのことに”今気付いた”、みたいな顔をしないでおくれや。一年前から判っていた話じゃないか。

 そんなわけで、サーフェスモデルのSTLじゃなくてソリッドモデルが欲しいよ!と言われてしまったのが、まぁ今日のスタートでありました。
 結論から申し上げれば、出来ました。よりによって私とD2の先輩と、二通りで。以下はその手順の概略です。

(1)先輩
DICOMファイル
   ↓   ←自作ツール
CT画像のrawデータ
   ↓   ←研究室オリジナルのメッシュモデル作成ソフト
四面体要素でメッシュが切られた中間ファイル(NISAというFEAソフトのファイル形式なんですが)
   ↓   ←自作ツール
netgenのニュートラルファイル(.mesh)
   ↓   ←netgen(サーフェスデータから四面体メッシュを生成してくれるフリーソフト)
ABAQUS用入力ファイル(.inp)
目出度しめでたし。

(2)蛙
DICOMファイル
   ↓   ←DeVIDE(修正BSDライセンスのフリーソフト)
サーフェスデータ(.stl)
   ↓   ←MeshLab(3次元メッシュを編集できるフリーソフト)
修正されたサーフェスデータ(.stl)
   ↓   ←netgen
ABAQUS用入力ファイル(.inp)
目出度しめでたし。

 御覧の通り、フリーソフトを漁ってなんとかした蛙と、自作のツールをもりもり書いて仕上げた先輩、なんとも対照的なルートを辿っています。
 肝心の成果物の出来ですが、これはD2の先輩が作ったメッシュモデルのほうが形状に忠実でした。メッシュ品質に大差は無いので、私の手順は完敗です(別に競っているつもりはありませんでしたが)。
 まあ、元々CT画像はボクセル状のソリッドデータであるとも言えるので、ソリッドのまま攻めるか、間にサーフェスデータを挟むか、というところで命運が決した気はします。stlのサーフェスデータって元の表面形状に忠実なのは良いんですが、メッシュ品質という面から見ると酷いことが多いんですよね。今回も、DeVIDEから吐いたばかりのstlファイルには妙にでかい三角形が居たり、かと思えば小さな三角形がやたらと密集した部分が有ったりでnetgenでメッシュが切れませんでした。仕方なくMeshLabでスムージングをして表面を滑らかにしたわけですが、こういう過程を辿ればそりゃ元の形は保たれません。M2さんのテーマ的に、形状が不正確なのは致命的なので、私がやった方法は多分にお蔵入りでしょう。うー、最初はstlを使うって言ってたからそうしたのになぁ……

 話が離れますが、上の手順を見比べていると、ソフトを使うだけの人間か、ソフトを作る人間か、という違いが如実に現れていて興味深くもあります。そして、作る側の人間でないとしゃんとした結果は出せない、というこの結果も。
 やっぱり、研究をするなら作る側でなくてはいけないということですね。押忍。



 ちなみに、DICOMのCT画像をstlファイルにするためのDeVIDEの操作手順はこの動画ヘルプで説明されていました。

 このDeVIDE、オランダのデルフト工科大学で作られているそうなのですが、何やらいろいろ出来るみたいで面白そうです。といいますか、そもそもDICOMを.stlにするという作業でさえwindows上ではなかなかフリーで出来ないわけですから(MacならOsirixがありますが)、これからDeVIDEのユーザーは増えるんじゃないかなぁ、と思っているものでもあります。

 最後に、Macユーザーなら使えるというOsirix(オザイリクス)。まぁ研究室にWin機しかない蛙としては指をくわえて見ているしかないのですが、初見だったら”おしりえっくす”って読んじゃいませんか?

 すみません。ごめんなさい。
 

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No.384|バイオ研もろもろComment(0)Trackback()

表紙の三年目

2011/05/15(Sun)17:20

2011hyoushimini.PNG 先週末のゼミで使ったスライドマスタです。難産でしたというべきか、未完成ですというべきか、まぁそういった程度の完成度で本番のゼミに上梓せざるを得ませんでした。
 うーん、やっぱり元ネタと比べられちゃうと厳しいんですよねぇ。

 今回は形態素解析を使ってみたのですが、少々かじる程度であればとても面白いですね。ただ品詞別、単語別に文章中の使用回数が出るだけなのに、データを採っているとその文章の特徴が浮かび上がってくる気配が有ります。この気配を見える形に直すのが言語統計、と言っても大外れではないと思うなぁ。って、統計学自体がそういう性質を持っているんでしたか。
 まだまだ初歩の初歩ではありますが、折角触れたツールなのでこれから有効に使っていければ、と思っている次第です。

No.383|バイオ研もろもろComment(0)Trackback()

おはようアイシャドウ

2011/05/08(Sun)23:45

 この土日、研究室のゼミ合宿で河口湖へ行っておりました。オルゴールの森美術館の収蔵品が圧巻だったり、富士山が綺麗だったりいろいろとありましたが、なかなか充実の旅行でした。旅行幹事はM1さんが努めたのですが、司令塔が旅慣れているとやはり頼りになりますね。ちなみに富士五湖周辺はまだ杉か檜かの花粉が飛んでいるらしく、ハイキングになった二日目は始終ぐずぐずとしていました。それもまた自然が豊かな証拠、かもしれませんが。
 毎年恒例の「真面目じゃないゼミ発表」も一日目の夜にあり、有難いことに三年連続の人気?投票一位となりました。例年通りスライドマスタも作ったのですが、今回はスタートが遅くて一応の形になったのが出発日のAM5:00でした。いつものように画像を載せたいのですがそれは多分次回くらいで。
 それにしても、上で書いたようにスケジュール管理に完全に失敗したうえ、定期のゼミやNHKの収録手伝いなども日程に重なったので今回はとても疲弊しました。睡眠時間だけはそこそこ取っていたのですが、寝る時に屋外の方が明るいような日が続くと起きても爽やかとは程遠いんですよね。いい加減にきつくなったので、そろそろ生活リズムを改善しようと思います。

 ゼミ発表の内容は例によって大したことは無いんですが、とりあえず、参考にした本は良かったですね。統計数学の基礎から各種統計手法の言語研究における位置づけ、実例までが載ったとても親切な構成をとっています。機械屋さんが読むことはそうはなさそうな本ですが、口当たりがやさしいので趣味でも楽しめるんじゃないかな。なんて、そこまで言ったら現金に褒めすぎでしょうか。

No.382|バイオ研もろもろComment(0)Trackback()

身から出た錆による研究デュアルブート

2011/05/05(Thu)21:17

 研究室のM2さんが外部から貰ってきた画像ファイルを足かけ三日で所望の形式に変換。自分なりに結構達成感が有ったので、これ見よがしに出来た出来たと騒いでいたのですが、これが運の尽きでした。

 それを見た教授と助教さんは、「蛙にこういう作業をやらせると速い」と勘違いしてしまったようです。今の研究テーマで、たまたま運悪くハマリに遭遇していることも重なり、
「今のテーマよりもこっちのほうが良いと思うんだけど」
などと説得されてしまいました。
 確かに、勧められたテーマは論文を出しやすそうではありましたが、私の感覚から言えば、自分の背景にあるスキルが最も対応していないテーマなのです。仮に任せられても、スキル的制約で思うに任せなかったり、自分より適任な人物がいるはずという思いに駆られたりするのが容易に想像できます。
 複数のテーマを持つことは守備範囲を広げる意味で良いことだと思いますが、勧められた方のテーマをメインにするのは勘弁願いたい。
 そんなわけで、首を突っ込むくらいはしますがメインでやるつもりは有りません、というような返答をしてきました。

 しかも、後から判ったことですが、問題の画像ファイルはD2の先輩が一日目で別形式への変換に成功し、あとは研究室の自作アプリケーションに突っ込めばいいというところまで行っていたのです。この先輩のデータは私が変換して出力したデータよりも利用価値が高く、私はまさに井の中の蛙、尺沢の鯢ではしゃいでいたところを捕まってしまったと言えます。こんな程度の視野と能力ですから、私をそのテーマにあてがうのは失敗だと思うのですが。

 次に説得された時には、もっとちゃんと意思表示をしなければいけないですよね。

No.381|バイオ研もろもろComment(0)Trackback()

念ずれば動ず

2011/05/02(Mon)01:50

 ”機械に詳しそうなビジュアル”とは、トータルテンボスのお二人から頂戴したお言葉。これに恥じぬように精進したいところですね。って、これは今日、静岡市立伝馬町小学校にいた人にしか通じませんか。

 今日は(昨日ですが)NHK教育(Eテレ)のスクールLiveShowの公開収録がありました。先日来準備していた教材の出番ということで、私と研究室の後輩I氏はトラブルシューティング兼当日の裏方を担当。4/30に現地入りし、教材の動作テストと修理改良、当日のリハーサルと収録を経て、先ほど帰還したところです。4/30は宿に着いたのが25時半であったりして、番組製作は過酷なんだなぁとあらためて感じました。
 とはいえ楽しかったですけどね。初めての台本(裏方ですが)、初めてのロケバスなど、貴重な体験をさせていただきました。自分には判らない形で諸方面に迷惑をかけていたとも思われますが……。

 収録の中身は番組のネタバレになりかねないので、ここでは割愛いたします。オンエア後に私が覚えていれば、写真も交えて紹介するかもしれません。とりあえず、かいつまんで言うとラジコン台車のキット(これが私の今回の製作物)を小学生が組み立て、様々な形で+αして競技を行った、というところでしょうか。会場の伝馬町小学校と、同じ市内の森下小学校の対抗戦ということもあって激しく盛り上がりました。

 まぁ値の張る教材だったわけですが(ってもNHKのお財布ですけど)、個人的にやった甲斐が有ったと思われたのは、子供たちがロボットに向ける眼差しが本気だったこと。特に、壊れたり、急に調子が悪くなったりしたときにロボットに向けられる心配は、まさしく機械への愛の芽生えですね!
 ロボコンの教育効果が叫ばれて久しいですが、今回のこれも、子供たちを一段階”ものにも優しく”するのに貢献できたなら幸いです。


 そうそう、収録前日の夜中12時頃、我々は会場でロボットの改良をしていました。私はシャーシに穴をあける担当で、さくさく穴あけが出来ることに恍惚となっていたと思われます。が、そんなときの一幕。

(チーフディレクターさん)「その独り言にはリアクションしないと駄目なの?」
(蛙)「え、あ、私、なんて言ってましたか」

 あな恐ろしや。変な事を口走っていなければ良いのですが……。

No.380|バイオ研もろもろComment(0)Trackback()