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蛙の末裔の妄創手帖

ポリシーは「ものに優しく」。
人畜無害で善良な変質者を目指します。
って、なにそれ?

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2025/01/22(Wed)20:40

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骨折り損で人工関節

2011/05/19(Thu)01:41

 研究室のとあるM2さんが扱っているテーマでは、お医者さん提供のDICOM形式CT画像を有限要素解析まで持っていかなければなりません。今日はこの課題に、私とD2の先輩の二人が取り組みました。当然ながら私もD2の先輩も研究テーマは別にあるのですが、いろいろあってそういう流れになってしまったわけですね。いろいろあって。

 タスクの内容をもう少し具体的に述べますと、raw形式の連番X線CT画像が入ったDICOMファイルがあって、それに写っている物体をANSYSのプリポストで読み込めるモデルにする、というものになります。ちなみに、内輪の話になりますが(まぁ全部内輪ですが)、当初はFEAをPro/EngineerのMechanicaで行うという話で、ゴールはSTLファイルで良いんじゃね?と思われていました。ただ、STLは物体表面を三角形パッチで覆っただけのサーフェスデータなので3DCADに取り込めはしても、すぐには解析出来ません。つまり、何とかしてソリッド化して、立体のメッシュを切る必要がある。
 そこでさぁM2さんよ。そのことに”今気付いた”、みたいな顔をしないでおくれや。一年前から判っていた話じゃないか。

 そんなわけで、サーフェスモデルのSTLじゃなくてソリッドモデルが欲しいよ!と言われてしまったのが、まぁ今日のスタートでありました。
 結論から申し上げれば、出来ました。よりによって私とD2の先輩と、二通りで。以下はその手順の概略です。

(1)先輩
DICOMファイル
   ↓   ←自作ツール
CT画像のrawデータ
   ↓   ←研究室オリジナルのメッシュモデル作成ソフト
四面体要素でメッシュが切られた中間ファイル(NISAというFEAソフトのファイル形式なんですが)
   ↓   ←自作ツール
netgenのニュートラルファイル(.mesh)
   ↓   ←netgen(サーフェスデータから四面体メッシュを生成してくれるフリーソフト)
ABAQUS用入力ファイル(.inp)
目出度しめでたし。

(2)蛙
DICOMファイル
   ↓   ←DeVIDE(修正BSDライセンスのフリーソフト)
サーフェスデータ(.stl)
   ↓   ←MeshLab(3次元メッシュを編集できるフリーソフト)
修正されたサーフェスデータ(.stl)
   ↓   ←netgen
ABAQUS用入力ファイル(.inp)
目出度しめでたし。

 御覧の通り、フリーソフトを漁ってなんとかした蛙と、自作のツールをもりもり書いて仕上げた先輩、なんとも対照的なルートを辿っています。
 肝心の成果物の出来ですが、これはD2の先輩が作ったメッシュモデルのほうが形状に忠実でした。メッシュ品質に大差は無いので、私の手順は完敗です(別に競っているつもりはありませんでしたが)。
 まあ、元々CT画像はボクセル状のソリッドデータであるとも言えるので、ソリッドのまま攻めるか、間にサーフェスデータを挟むか、というところで命運が決した気はします。stlのサーフェスデータって元の表面形状に忠実なのは良いんですが、メッシュ品質という面から見ると酷いことが多いんですよね。今回も、DeVIDEから吐いたばかりのstlファイルには妙にでかい三角形が居たり、かと思えば小さな三角形がやたらと密集した部分が有ったりでnetgenでメッシュが切れませんでした。仕方なくMeshLabでスムージングをして表面を滑らかにしたわけですが、こういう過程を辿ればそりゃ元の形は保たれません。M2さんのテーマ的に、形状が不正確なのは致命的なので、私がやった方法は多分にお蔵入りでしょう。うー、最初はstlを使うって言ってたからそうしたのになぁ……

 話が離れますが、上の手順を見比べていると、ソフトを使うだけの人間か、ソフトを作る人間か、という違いが如実に現れていて興味深くもあります。そして、作る側の人間でないとしゃんとした結果は出せない、というこの結果も。
 やっぱり、研究をするなら作る側でなくてはいけないということですね。押忍。



 ちなみに、DICOMのCT画像をstlファイルにするためのDeVIDEの操作手順はこの動画ヘルプで説明されていました。

 このDeVIDE、オランダのデルフト工科大学で作られているそうなのですが、何やらいろいろ出来るみたいで面白そうです。といいますか、そもそもDICOMを.stlにするという作業でさえwindows上ではなかなかフリーで出来ないわけですから(MacならOsirixがありますが)、これからDeVIDEのユーザーは増えるんじゃないかなぁ、と思っているものでもあります。

 最後に、Macユーザーなら使えるというOsirix(オザイリクス)。まぁ研究室にWin機しかない蛙としては指をくわえて見ているしかないのですが、初見だったら”おしりえっくす”って読んじゃいませんか?

 すみません。ごめんなさい。
 

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No.384|バイオ研もろもろComment(0)Trackback()

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