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蛙の末裔の妄創手帖

ポリシーは「ものに優しく」。
人畜無害で善良な変質者を目指します。
って、なにそれ?

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2025/02/24(Mon)22:06

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誤解する記述、誤解させない技術

2011/06/08(Wed)02:09

 あー。大学の情報センター(東工大 学術国際情報センター)が配布しているANSYS Workbenchでは流体の解析しか出来ないのだそうです。てっきり構造解析も含めた各種連成解析が出来るものだと思っていました。だって、ANSYS Workbenchって言われたら統合的な解析環境だと思うじゃないですか。まさかだたの流体解析用プリポストプロセッサとしてしか役に立たないなんて……。”なんか色々できるっぽいです”と研究室で吹聴していた過去の自分に伝えたい。

 ただ、自慰的で難ですが、この辺の記述だけを見たらフル機能で使えるものと誤解しても仕方ない気もします。そもそもWorkbenchというソフトウェア自体が、各種解析を統合して扱える事を謳ったものなんですから。加えて、GSIC(学術国際情報センター)が公開している流体解析モジュールの利用の手引には、以下のように書いてあったりします。
~~~~~~

1.2概要
ANSYS FLUENTでは連成解法および分離解法のアルゴリズムを用いて,非構造格子で離散化した質量,運動量,熱,化学種に関する支配方程式を解きます.豊富な物理モデルを搭載しており,高度なカスタマイズも可能です.

TSUBAMEおよび学内配布しているANSYSでは次のURL中の「ANSYS Academic Research CFD」「ANSYS Academic Research HPC」の機能が利用可能となっています.

~~~~~~

ANSYS Academic Research HPCというのはANSYSの各種解析をほぼフル機能で使えるので、例によってちゃんと疑ってかからないと、なんでも出来るものと思ってしまうでしょう。同じように、FLUENTしか使えないANSYSをANSYSと呼んで良いものかどうか、ちょっと考えたくなってしまいます。
 もっと言い訳すると、大学のスパコンで使えるアプリケーションに流体構造連成解析が扱えるソフトウェアがANSYSしかないのです。そんな事情もあって、「世界最高峰の理工系総合大学」を目指している大学なら流体構造連成を計算できるソフトくらい持っててもおかしくないよね、と私は甘く考えてしまったのでした。


 しかし……M2さんにも助教さんにも、”ANSYS使えそうですよ!”と言っちゃったし、それ用のモデル作りなんかにも取り組んだんですけどねぇ。戦略を練りなおさなければいけなくなってしまいました。

 全学で10個しかライセンスがないNastran。エラーメッセージが簡潔過ぎて解決の足しにならないABAQUS。対して、ビデオのオンラインチュートリアルまであるANSYS。目の前にぶら下がっているはずだった人参が魅力的だっただけに、誤解していた自分と、誤解を招くような資料とに腹が立ちます。
 自業自得と言われれば、まさにその通りなんですが。
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No.389|バイオ研もろもろComment(0)Trackback()

蜜蜂の文法

2011/06/05(Sun)01:20

 昼過ぎに弁当を買いに外出したところ、蜜蜂の分蜂に遭遇しました。幸い、蜂たちが飛び回っていたのは地上6、7mのところで通行人に影響は無いようでしたが、うん、うん、という羽音は道行く人の誰もが聞いていたらしく、皆一様に空を見上げて驚いていました。
 いやあれ、特に危険は無いと判っていても、実際に見ると迫力ありますよね。今回は相互不干渉で済む高さなので安心でしたが、以前には、網戸の向こう1m程の木に蜂が群れるというスリリングなものを見た事も有ります。無論、蜂にとっての大切な儀式が終わるまで、こちらは手出し無用で待っていました。

 分蜂で移った先がどこかは把握していませんが、そこはまぁ、近所から苦情が出ないような良い新居が見つかっているといいなぁと。

No.388|バイオ研もろもろComment(0)Trackback()

ロックタイト556

2011/05/28(Sat)01:14

 スクールLiveShow in静岡、一回目が放送されましたね。研究室でも、残っていた面子で拝見しました。
 てっきり、一回目が製作風景中心、二回目が競技中心になると思っていたのでいきなり試合になったのには面食らいましたが、確かにこれもひとつの形ですね。特に、こういった番組では個々の作品とそれを作った子供たちにフォーカスすべきですから、それに適した今回の編集はなかなか良かったんじゃないでしょうか。(なんという上から目線……。)
 番組の中身の方は、一回目で前半二試合が放送されたわけですが、これだけ見ると森下小が圧倒しているように見えますね。現場にいた私には拮抗しているように見えたので、試合毎に点数を出していくとこうも印象が変わるのかという感じでした。

 それと、車載カメラの映像がまともだったのは幸いでした。(もしかすると大半は使い物にならない映像だったのかもしれませんけど。)個人的に、あのカメラ用ポールは手作業で加工したので思い入れが強いのです。
 そもそも、あの車載カメラは途中で追加された仕事で、依頼の際にはガングリップ型のビデオカメラを載せたい、という情報しか有りませんでした。仕方が無いのでとにかく汎用性を上げ、高さ調整8段階、角度調整12段階、搭載カメラのサイズも2種類に対応という仕様にしています。その上、もしも当初の計画通りレーザー加工機が使えていれば、高さ調整は無段階(!)になっていたはずだというのですから、我ながらよく気を遣ったというか、思い切りが悪かったというか。幸か不幸か、現場では高さ調整を一回やっただけで他は初期位置に固定したままだったんですけどね……。

 ということで、放送は次回もあるわけですが、どうもそれは研究室の飲み会の最中に見ることになりそうです。
 うーむ、これはちょっと警戒ですねぇ。今日の感じだとどうやら映ることはなさそうだ、とはいえ。
 

No.387|バイオ研もろもろComment(0)Trackback()

ゆらりオフィスチェアの旅

2011/05/22(Sun)00:56

 先月、研究室用のオフィスチェアを選ぶという貴重な体験をしました。結局中古の椅子を購入したのですが、それには直前に教授室のロッカーを中古で探し当てていたことが大きかったですね。教授からも「中古で良いのがあれば」という言質を頂戴し、身を入れて選ぶ事が出来ました。

 選定基準は主に以下の8点としました。製品仕様と中古品ならではの事情が混在していますが、それは仕方のない事です。
(1)日本人が座って妥当と言える高さまで座面を下げることが可能
(2)シンクロロッキングかつ任意姿勢での固定が可能
(3)座面奥行きの調節が可能
(4)非メッシュ
(5)目立つ汚れ、傷は無い
(6)大手メーカー品
(7)欲しい脚数が揃う
(8)予算内
 
 思い出しながら書いたら、なんだか優先順位と逆な感じになってしまいました。個人的にこだわりたかったのは前半の4条件で、これがほぼ製品仕様に関する条件に相当するかと思います。もっとも、(1)は普通の国内メーカーであれば満たすはずですが。
 非メッシュを条件としたのは、耐久性を重視したためでした。研究室の椅子には学生が座るので、ジーンズやチノパン、それにキーホルダーなんかがこすれる事も多く、メッシュ張りではほつれが広がりやすいと考えられます。極端な場合にはほつれから裂けることもあるでしょう。それに比べると、ウレタンに布張りの普通のタイプなら、丈夫な布が選ばれていることもあって多少ほつれても裂けはしません。まぁメッシュチェアのある研究室自体をあまり聞きませんが、ガサツな使い方をされがちな研究室椅子には、結構重要なことじゃないかと思っています。
 また、座面奥行き調節ですが、これは上手く背もたれを使うために必要な機能だと考えています。特に、クッションの硬度を部分的に変えたり、クッション下のシェルをたわませてフィット感を増している椅子では、尻が座面の正しい位置に来ないと快適に座れません。尻の位置が座面で決まるということは、良い具合にフィットする位置に背もたれがあるとは限らないわけで、そこに座面の奥行き方向の調節機能の必要性が生じます。って、この理屈には経験的な主観もかなり混じっていますけどね。

 そんなわけで、納入されたのは内田洋行のNEXでした。リクライニングの任意位置固定が出来るアジャストシンクロタイプのハイバックで、可動肘付き。実は、個人的には同じ内田洋行のルディオの方が好きだったんですが(短時間ですが座り比べたことがあります)、こちらは数が揃わず断念したのでした。とはいえ、NEXの方が設計が古いだけあって頑丈そうなので、耐久性重視の観点からは却ってこれで良かったんじゃないかとも思えます。そうそう、可動肘のでかさはNEXならではですしね。


 それと、NEXを研究室に置いた結果で面白かったのが、助教さんが自身のアーロンチェアを見直したこと。おもむろに座ってリクライニングしたかと思うと、「そこそこ良い椅子だけど俺の椅子の方が良いな」なんておっしゃっていました。
 どちらかというとノリでアーロンチェアを買い、「いまいち」と公言なさっていた方でしたから、これを機にアーロンチェアと良い関係を築いてほしいと思う次第です。

No.386|オフィスチェア的変態Comment(0)Trackback

魚が見上げる空の色

2011/05/20(Fri)01:58

 先日、と言ってももう3週間近く前になりますが、小学生の造形作品を間近で拝見する機会を得ました。
 海沿いの地域でしたので、造形物の中には魚を表現した物も数多く有りました。まあ、それはそうでしょう。海辺に住んでいれば、魚介に無関心に育つ方が難しいと思えます。
 そんな中興味深かったのは、その魚たちがみな白い腹をしていたことです。言われてみると、鯉のぼりの鯉も、背の色には種々あれど腹は白が多いですし、なんとなく魚の腹は白、あるいは銀灰色をしているイメージがあります。そしてまた、実際にこのイメージはそう外れでも無いでしょう。魚売り場や水族館に行けば、アジもイワシもサバもカツオも、みな白銀色の腹部をしていることが判るのですから。

 ある現象を人間がどう感じているかを知るために、人間がその現象をどう表現しているかを調べるというのは有効な手段だと考えられます。例えばある人が蛍光灯の色をどう感じているかを知りたければ、その人が蛍光灯を描写する際の色表現に注目すれば良い。こうすることで、物理現象そのものだけでなく、その現象を受け取った側の感覚まで含めた情報を得ることが出来るのです。

 これを、魚に適用する事は出来ないでしょうか。魚の腹の色が白銀色をしているのは、下から見上げた時に周囲の景色、つまり空に溶け込むためだと言われています。これが本当であるならば、白銀色の腹部というのは魚が長い時間をかけて造り出した作品であり、魚なりの感覚を投影した表現だと言えるでしょう。つまり、魚たちには、空が魚の腹の色のように見えているということです。

 小説にしても映画にしても、あるいは普段の会話にしても、共感は人物を身近に感じるための重要な体験のひとつだと言えます。ですが、それは相手が人間である場合に限るのでしょうか。
 もしもある日、空の色が白や銀色に見えたとしたら、その日は魚と仲良くなれる日。
 なんてことがあったりしないかなぁと、海辺の子供たちの作品を見ていて思ったのでした。

No.385|バイオ研もろもろComment(2)Trackback()