金曜日の朝、いつものバスの時刻に合わせて家を出たはずが、なぜかいつもと違う感覚に囚われました。光に朝焼けの色が混じっていて、何より街が静かなのです。
……しばらく歩いてから思い立って時計を取り出したところ、1時間早く家を出ていました。大丈夫か。
それはともかく、今日はNHKの学生ロボコンをライブストリーミングで拝見しました。
職場(九大)のチームも母校(東工大)のチームも出場していますから、応援するしかありません。自分が選手をしていたときからもう8年以上経ちますが、それでも(だからこそ?)開始前から妙に緊張しました。現場にいるわけでもないのに、おかしな話ですね。
結果から言えば東工大が初優勝ということで、決勝トーナメント中は緊張と興奮でしばらく落ち着けませんでした。(全身の毛孔が開いた感じで、放っておくと体調を崩しそうだったので無理やり布団に入って一眠りしました。)
長くなったので以下はつづきに。
やー、東工大Maquinistaの皆さん、本当におめでとうございます。
結構動くことは知っていたので期待もしていたんですが、コンセプトが正直すぎて試合巧者と当たったときに厳しくなるかなーと思っていました。
結果的には、ディスクを全部持ち運んで途切れさせず連射する性能と狙った位置でディスクを止める性能がうまいことバランスしていたというか。特に前者は、バットで打つという間欠的な方法の割にかなり良かったです。ディスクが軽いので、バットの振り抜きにモーターの回転をそのまま使える(なので回転数制御によって勢いの調整も容易)という目の付け所が良かったのでしょう。ばねやゴムにポテンシャルエネルギーを溜め、その解放でバットを振るアイデアの方が世には多いと思われますが、それでは連射が難しいですからね。
ただ、評論家目線で恐縮ですが、ABU本戦を考えるともう一つ上の段階で性能をバランスさせないと厳しいのではないかなとも思います。
ではどこが伸び代なのか……個人的には遠いポールへ投げた時にディスクが縦に落ちて跳ねているように見えたので(回転数が少ない?)、それも含めた個々の軌道の最適化ですかね。
それと能動的に制御している箇所のブラッシュアップ。例えば、東工大はポールとの距離を測っているらしいのですが、それがどれくらいの精度と効果を持っていたのかは外野からはわかりません。
あとは、ディスク装填に時間がかかっているように見えた(紐を扱っているところがタイムロスの要因だと思う)ので、マガジンを新設計しての高速化・自動化とか、少ないテストでその日のディスクの物性に合わせる調整能力の強化(ハード、ソフト、人の)でしょうか。
いや、実際にやってる人が見ればもっと要点を押さえた改良ができるんだと思いますが。
制御という観点から見ると、東大RoboTechや首都大TEXNITIS、京都工繊大ForteFibreなどのチームがベルトで左右から挟んで打ち出していたのは、飛距離と回転数を独立に制御できる優れた打ち出し方法だったと思います。
加えて、ローラーではなくベルト(※)というのも柔軟なディスクをしっかり加速させるために重要だったのかなと推測しています。
また、首都大は初出場とのことでしたが、とても初出場には見えない完成度の高さで素晴らしかったです。
翻って、バットで打つ方式はこれらを独立に制御できないのが泣き所でしょうね。
※古い話になりますが、高専ロボコン94の神戸市立高専・乳母車がやはり左右からベルトで挟んでディスク(このときは硬質樹脂のいわゆるフリスビー)を投げ、好成績を残していました。理屈を何段階かすっ飛ばした意見ですが、打ち出しにおける加速時間が長いことが良い方向に働いているように思われます。
それと紹介VTRで映されていた装填機構が格好良い大工大・大工大エンジュニア。ライブストリーミングではNC加工の仕上げの良さが取り上げられていましたが、カメラのシャッターのようにディスクの通路を絞る構造と、その下の小さな腕の動きも魅力的でした。
最後に九大。随分前(1次ビデオ審査前後)に練習しているのを見かけた程度でしたので、打ち出しユニットを7つ備えた本大会仕様は画面で初めて見ました。ディスクをつまむ小さい手がかわいい。2試合目は12点取れていて、見せ場を作ったので良かったです。
ともあれ、関係者の皆様におかれましては大変お疲れ様でした。有難うございました。
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