飯嶋和一の時代小説「雷電本紀」が好きすぎたので、作中に出てくる鍋料理を作ってみました。と言っても、中身はシンプルな味噌鍋ですから、多くの人が期せずして経験している味だと思いますが。
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煮立った鍋に酒と肉をそぎ落とした骨を入れ、味噌で味をつけ、骨を取り出した。「麻吉っつぁん、こんなもんかい」助五郎が差し出した小皿から、麻吉が味をみてゴボウと鴨、ネギとセリを山のように入れ、おろした赤唐がらしを汁が赤くなるまでかけて食べる。いろりも江戸の商家では珍しかったし、男ばかり三人で鍋を拵え、それを勝手に取って食べるのも、雷電はひどく気に入ったようだった。
「うまいもんですなあ」
「これが鍵屋の青首鍋で、大根は入れませんので」
ーーーーーー以上、「雷電本紀」より引用ーーーーーー
調子に乗ってセリを刻みすぎましたね。あと、鴨肉はハードルが高いので鶏肉で、出汁をとるために使っている鴨の骨は鶏がらスープの素で代用しました。冷静に考えるともう青首鍋を名乗れなくなっているような気がします。
「汁が赤くなるまで」、というのは、やはり一味唐辛子でやるべきだったかもしれませんが、とにかく完成です。ここで一味唐辛子を買って来られないというのが私の精神的弱さなのでしょう。
味の方は、「うまいもんですなあ」という雷電に激しく同意。なんといっても、不味くする方が難しい料理ですからね。酒入れて味噌溶いて、のどこに付け入る隙があるのかという。いやまぁ、とにかく美味しゅうございました。
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