飯嶋和一の出星前夜を読み終えました。夏場はほとんど読む暇がなかったので、足かけ5か月ほどはかかった計算でしょうか。
これで一応、飯嶋和一氏の単行本はすべて読んだことになるのですが、相変わらずの重さです。紙面は文字に埋め尽くされているのに文面は饒舌でなく、読者の手を引くようなサービス精神はほとんど感じられません。むしろ、読んでも読んでも次々に現れる言葉と格闘し続ける感覚。
それでも、このきつさが病みつきになるんですね。飯嶋氏の作品にはしばしば長い文が出てきますが、そのどれもが明晰さを保っていて理解を誤らせません。普段目にしている論文などでは到底ありえない文体ですが、それらとは別の硬派さをもった文章として記憶に残ります。
で、この飯嶋氏が連載されていた作品がつい最近完了を見たらしく、そろそろ単行本化じゃないかと楽しみにしている次第です。まぁ、何しろ現行の最新作にあたる出星前夜が2008年で、その前が04年、00年、97年ですからいつになるかはわかりませんが。
とまれ、この作者の作品をリアルタイムで読めるのは個人的にとても幸せ。
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