今日から使い始めた、とある実験機器。その取扱説明書がちょっと突っ込みたくなる出来でした。
その機器はいわゆるデータレコーダなのですが、取扱説明書にデータ収録の手順が説明されていないのです。初めは、そんな馬鹿な、と思いましたが読み直しても見当たらず。どこに書いてあるのだろうとよく探してみたところ、ボタンの機能説明から推測するとわかる、という具合でした。
まあ直観的にわかると言えばわかるのですが、仮にも研究開発用の計測機器で、民生品じゃありませんからね。操作、手順の類のユーザーフレンドリーさは二の次なわけで、せめて説明書くらいは厳密に書かれていなければならないと思います。
まったく、バックライトの輝度調節やら電源ボタンのON/OFFやらには1章割いているのに、どうしてデータ収録の操作が記述されていないのかって話ですよ。貴方データレコーダでしょう?
また、ヘッドホン出力の音量調整に関する説明はヘッドホン出力の章に書かれていませんでした。これも酷い話で、どこに書いてあるかというと、機器の外装各部の説明の中のヘッドホンジャックの説明として音量の調整方法が書いてあるのです。言うまでもなく音量調整云々はジャックの説明ではありませんが、そこにしか書かれていない。もう、ヘッドホン出力の章とは何なのかということになります。
そしてそんな体たらくの割には、ヘッドホン出力の説明の後に、音量は下げた状態から始めないと大音量が耳に入って危ないよ、などと注意書きがあります。最早いじわるクイズの類。
単なる誤記もいくつかありましたが、上記のような大局的な不備(だと思っている)の前では些末事です。別段何か被害があったというわけではありませんが、あるべきものがあるべきところにない違和感を強く抱きました。
ちなみにそのメーカー、WEB上の資料などはかなり充実していて、その分野では日本を代表する企業なのです。個人的な印象もとても良かったのですが……今回の取説にはちょっと幻滅でしたね。もっとも、取説はエアポケットみたいなもので、これ以外の部分はちゃんとしていると信じています。
こういうさまを見てしまうと、取説に工数をかけない、チェック体制を十分つくらない、といったことの弊害はこういう風に現れるんじゃないか、と思ってしまいます。
以前、今回とは別の音響機器メーカーの方から「一人の技術者が構造設計や音作りから取説作成、パッケージ設計まで受け持ちます。こんなにできるのはうちくらい」という話をお聞きしましたが、それも考え物ですよね。
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