映画「イミテーション・ゲーム」を見てきました。
友人に誘われて見に行くことは時々ありましたが、自発的に映画館に行くなど何年振りでしょう。(記憶にある最後は「ロボコン」ですから12年ぶりですかね。)あまりに久しぶりだったので、チケット売り場でどぎまぎしてしまいました。
ネタバレを含むので以降は続きに。
恥ずかしながらエニグマ関連の話題についてはまったく造詣がありませんで、てっきりColossusやHeath Robinson(どちらもイギリスの暗号解読器)が出てくる映画かと思っていました。
ですがそうではなくて、登場したのはチューリングが主導して開発した電気機械式のBombe(で良いんですかね)。帰宅してから調べて知りました。
映画の情報を知って以来あえて下調べをせずにいたとはいえ、これでは機械式アナログ計算機オタク失格ですね。
映画では実動一号機と思われるBombeが”クリストファー”と呼ばれて登場しました。
彼こと”クリストファー”の仕事はエニグマの暗号を解く鍵を同定することです。ずらりと並んだローターが間欠的に回転するのですが、これが作中では機械による解読作業の象徴として描かれていました。
ええ。”同じものが沢山並んでいると嬉しい”という人にはたまらないと思います。
また、大きさといい、のたくる配線といい、その重厚な機械的動作の描写と合わせて、電気機械式計算機とはこういうものだ!(※)と言えそうな姿が印象的でした。
※個人的に、電気機械式計算機なるものの方向性としては、
・この手のデジタル計算機
・主な計算は電気回路で行うが、一部は機械的な要素に頼るアナログ計算機
・タイガー計算機の親戚筋を電動化したデジタル計算機(1コ目を単純化・汎用化するとこうなるとも)
の3種類があるように思えます。
もっとも、これは電気機械式=Electromechanicalという単語のとりうる範囲にどんな計算機があるか、という命題であって、技術的意味はあまりないですけどね。
と、ここまでハードウェアへの感想しか書いていないわけですが。
映画そのものはかなり重たくて、余韻がずっしり来ました。どうせならこの重さをしっかり感じるべきだったので、ポップコーンを買ったのは失敗だったかなと思えるレベル。
また、時間配分は少ないものの、「ドイツ軍にエニグマを使い続けさせるために」という部分が描かれている点は秀逸でした。技術的挑戦の色が濃い解読作業は、割と没頭しやすい仕事だと想像されますが、その後の運用は精神的にきつかったはずです。運用の責任を個人がとる仕組みではなかったとはいえ。
微妙な点を挙げるとすれば、チューリングがすごくハードウェア屋に見えるという点でしょうか。もちろん、この手の人は理論から実装まで自分でやってしまう力があるのが通例ですが、いわゆる”機械いじり”をしている場面が多すぎて、彼が理論屋でもあることを忘れそうになります。やはり、数学は画に映すのが難しいということかもしれません。
それと最後に、作品終盤の鬱な空気の中でチューリングが計算機と同棲しているさまを見て、複雑な気持ちになったことをメモしておきます。
日頃、「でかい機械式計算機が林立するのを見上げながら寝るのが目標」とぬかしている手前、ここはもう少し救いが欲しかったのでした。
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さすが蛙さんは、いくらでもご存知ですね
2015/04/12(Sun)20:15
それにしても、それ以降映画を見てなかったとは。。。
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